Interview

いろいろな角度でまち・団地を”語る”専門家のお話。新たな一面が発見できるはず。

専門家が語る まち・団地への想い

田中康裕さん(総主任)

現場監理の総括役

URでは、工事現場の統括工事監理人を総主任と呼んでいます。現在建替え工事が進む鶴舞団地を舞台に、総主任の田中康裕さんに話を聞きました。


田中康裕さん(たなか・やすひろ)

株式会社URリンケージ西日本支社工事監理部に所属。平成8年から建築の総主任としてUR都市機構の建設工事を中心に数多くの統括工事監理を担当。趣味はテニス。「外で体を動かすことが大好きですが、家族と過ごす団欒はなにより心がやすらぎます。」

この団地の建替え工事はいつから担当されていますか。

田中:私は一期目と三期目の建替え工事の統括工事監理を担当しています。鶴舞団地は平成19年に一期目の工事に着手しました。現在行っている工事は三期目で鶴舞団地では最後の建替え工事です。
 

鶴舞団地三期建替え工事の状況(左上:2017年11月基礎工事 右上:2017年12月躯体工事 左下:2018年3月躯体工事)

総主任というのはどのような仕事なのですか。

田中:私が行っている仕事は工事が円滑に進むように調整を行います。調整と言いましても現場、近隣、各職種間の広範囲の調整です。竣工に向けて、設計図通りにかつ、工事がスムーズに進行するように指揮をとります。


2017年10月 地中梁配筋の組立て状況

各職種間の調整とはどのようなことをされていますか。

田中:例えば排水管の管を通す順番です。この現場では道路と建物の隙間にライフライン(※)を入れています。足場を組んでしまってからでは出来ないので、基礎工事で地面を掘っているタイミングで施工されます。この部分に排水管や電気配線などさまざまな管が集約されるので各職種間で埋設管の調整を行い、管を入れる位置や順番等を決定します。具体的には、先ず水勾配を取らないといけないので、汚水管と雨水管を優先して入れていきます。その隙間をねらって電気の管を入れていきます。このように各職種がいろいろ工夫しながら調整するのです。

(※)ライフライン: 電気、水道、ガス、電話など日常生活に不可欠な線や管で結ばれたシステムの総称


2017年10月 ライフラインの施工状況


各職種間で調整された図面の説明をする田中さん
 

建築に関わる仕事をされるきっかけは?

田中: 私は子供のころから工作やプラモデル作りなど、とにかくなにかものをつくるのが好きでした。また実家も当時父親が設計事務所を営んでおり、兄が構造の建築事務所を開設しているなど建築を生業とする一家であったので、そういう姿をみて私自身も建築の道に進んだのは自然の流れであったと思います。
 学校を卒業した後に最初に勤めたのは小さな建築設計事務所でしたが、そこでは工事監理や設計、法申請など建築にかかわるあらゆることを経験しました。その設計事務所で小規模な耳鼻咽喉科の設計を行ったことがあります。施主との打ち合わせで図面を見てもよく分からないというので、一晩で模型を制作して次の日に改めて説明に行ったら大変喜んでくださって。それから建築の仕事がさらに面白く感じるようになりました。家の近所のその耳鼻咽喉科は今も建物が残っています。形に残る仕事というものは本当にいいですね。
 そのうち何年かしてURの工事監督の仕事を行うようになり、平成8年頃からは総主任の仕事を始め、今に至ります。


当時田中さんが設計された耳鼻咽喉科の建物
 

仕事をする上で心がけていることはありますか?

田中:過去に自分が仕事で痛い目にあった経験などは実務に活かしています。人間関係も大事で、人に何かを注意する場合も頭ごなしに言うのではなく、なぜそうしないといけないのか、自分の経験を踏まえて理由を伝えるようにしています。現場の状況をよく見て事故や工事の失敗がないように特に気を配っています。
 また、設計図の通りに建物を完成させるのが私たちの仕事で、現場ではどうしても図面が頼りになるのですが、例えば図面に寸法の記載がない部分があった場合は、何が優先になっているのかを設計者に確認し寸法を決定するようにしています。

完成に向けての今後の想いを教えてください。

田中:鶴舞団地の建替え工事は一期からはもう10年が経ちました。現在行っている三期建替え工事では、多くの方のおかげで、順調に工事が進んでいます。ありがたいことです。
現場では各職種のスペシャリストたちと一緒にものづくりを行っている醍醐味があります。人々が力を出し合って同じ竣工という目標に向かって仕事を進めていきます。各々が小さな力でも、皆が進む方向が同じであれば、ものごとを進める大きな推進力になるといつも思っています。
  

取材場所:奈良市鶴舞東町 奈良・学園前鶴舞団地三期建替え工事現場

 

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